ペットと住まいの寄り添いコンサルタント 佐藤👨です。
千葉県柏市を起点に、家庭小型犬を中心としたワンちゃんのしつけの学校。
他にあまりない飼い主様への犬知識提供のオンラインセミナーと併せ、陽性(褒める)トレーニングによる伴走出張しつけ指導を行っています。

地震や台風、大雨などの災害は、いつ起こるか分かりません。
「自分の避難用品は用意したけれど、犬の防災グッズは何を準備すればいい?」「避難所にフードはあるの?」と不安を感じる飼い主さんも多いでしょう。
特に犬を飼い始めたばかりだと、必要な物の優先順位に迷いがちです。実際、災害時は慣れない場所や大きな音で犬が落ち着かなくなることも考えられます。そのため、フードや水だけでなく、リード、薬、トイレ用品、飼い主と犬の情報などを平常時からまとめておくことが大切です。この記事では、ドッグトレーナーの視点から、犬の防災グッズの基本と犬種ごとの備え、避難生活を想定したしつけまで、初心者にも実践しやすく具体的に解説します。
1.犬の防災グッズは「避難してから」を想像して準備する
犬の防災というと、非常食を用意することだけを考えてしまいがちです。
しかし、実際に考えておきたいのは、自宅を出てから愛犬とどう生活するかです。
環境省も、災害に備えて水や食料、常備薬などを準備するとともに、避難所や避難ルートを確認し、キャリーバッグやケージに慣れさせておくことなどを案内しています。
まず準備したいものとしては、次のようなものがあります。
・普段食べているドッグフード
・飲料水
・常備薬や必要なケア用品
・首輪、ハーネス、予備のリード
・キャリーバッグやクレート
・ペットシーツ、うんち袋
・タオル、ウェットティッシュ
・食器
・犬の写真
・飼い主の連絡先
・ワクチン接種など健康情報を確認できるもの
特に注意したいのが「避難先で手に入るだろう」と考えすぎないことです。
犬によっては急にフードが変わると食べなくなることがあります。また、療法食など特定の食事を続けている犬では、普段の食事をすぐ確保できるとは限りません。
そのため、「この子が数日間生活するなら何が必要だろう?」と考えて防災バッグを作ることがポイントです。
さらに、防災バッグは作って終わりではありません。
例えば半年に一度、
「フードの期限は大丈夫かな?」
「薬は古くなっていないかな?」
「今の体のサイズにハーネスが合っているかな?」
と見直してみましょう。
防災グッズは保管するものではなく、定期的に更新するものと考えると備えやすくなります。
2.犬種ごとの特徴に合わせて防災グッズを考える
犬の防災用品には共通するものが多い一方、体格や性格によって準備のポイントは変わります。
ここでは犬種別 飼い方の視点から、3犬種を例に考えてみましょう。
2-1.チワワ|寒さや移動を想定した準備
チワワのような小型犬はキャリーで移動しやすい反面、気温の変化への対策も考えておきたい犬種です。
例えば、
・使い慣れたキャリーバッグ
・タオルやブランケット
・洋服
・小さめの食器
・サイズの合った予備のハーネス
などを用意しておくと安心材料になります。
また、小型犬だからと普段から抱っこだけで移動していると、災害時にキャリーへ入ることを嫌がる場合があります。
「キャリーを見ると逃げちゃうんです」
という相談は、普段のトレーニングでも珍しくありません。
最初は扉を開けたまま中におやつを置き、自分から入ったら褒めます。
無理やり押し込むのではなく、「ここに入ると安心できる」と覚えてもらうことが大切です。
2-2.柴犬|環境の変化を想定しておく
犬 性格には個体差がありますが、柴犬では知らない人や慣れない環境への警戒について相談されることがあります。
普段は静かな犬でも、避難先では知らない人、犬、大きな物音など、日常とは違う刺激に囲まれる可能性があります。
そこで、
・丈夫なリード
・抜けにくいサイズの首輪やハーネス
・クレート
・愛犬のにおいが付いたタオル
・好きなおやつ
なども準備候補になります。
以前相談を想定すると、
Before
「家ではおとなしいからクレート練習は必要ないと思っていました」
という飼い主さんが、練習を始めるケースがあります。
最初はクレートの入口で止まっていた犬でも、食事やおやつを活用して短時間から練習すると、
After
「自分から入って休めるようになりました」
という変化は十分期待できます。
ただし、進み方には個体差があります。嫌がる犬を無理に閉じ込めるのではなく、その犬のペースで慣らしてください。
3.ゴールデン・レトリーバー|大型犬は「運べない」ことも想定する
大型犬では防災グッズに加え、移動方法そのものを考える必要があります。
例えばゴールデン・レトリーバーが怖がって歩かなくなった場合、小型犬のように簡単に抱き上げることは難しくなります。
そのため、
・丈夫なリードとハーネス
・予備のリード
・十分な量のフードや水
・大きめのタオル
・排泄用品
・必要に応じた移動補助用品
などを考えておきましょう。
また、フードや水は犬が大きいほど必要量も増えます。
ここで初心者にありがちな失敗が、人間用の防災バッグと犬用品をすべて一つに詰め込むことです。
いざ持ち上げたら、
「重すぎてこれでは避難できない……」
という状態になっては困ります。
そのため、実際にバッグを背負い、犬を連れて玄関から外まで歩いてみてください。
防災は「持っているか」だけでなく、本当に持って避難できるかまで確認することが重要です。
4.防災グッズと同じくらい重要なのが「犬のしつけ」
私は犬 しつけを考える際、「災害のためだけの特別なしつけ」をする必要はないと考えています。
普段の生活で役立つ練習が、そのまま防災につながるからです。
例えば、
・「おいで」で飼い主のところへ来る
・首輪やハーネスを嫌がらない
・クレートで落ち着ける
・人や犬と適度な距離を取れる
・体を触られることに少しずつ慣れる
といった練習です。
環境省も、基本的なしつけやさまざまな環境に慣らしておくことは、災害時の安全確保やストレス軽減につながるとしています。
特にクレート練習は、初心者向け 犬の防災対策として普段から取り入れてほしい内容です。
よくある失敗は、動物病院へ行くときだけクレートを出すこと。
犬からすると、
「これに入ると嫌な場所へ行く」
という印象になりやすくなります。
そこで普段から部屋に置き、中でおやつを食べたり休んだりできる環境を作ります。
最初は30秒、慣れたら1分、3分と少しずつ時間を延ばしましょう。
結果として、クレートが「閉じ込められる場所」から「安心して休む場所」へ変わっていきます。
5.避難所に犬を連れて行けるか事前確認を
ここは非常に重要です。
「同行避難」と「避難所で犬と同じ部屋に過ごせること」は同じ意味ではありません。
避難所によって受け入れ方法やルールは異なる可能性があるため、住んでいる自治体の最新情報を平常時に確認してください。
環境省も、自分の地域の指定避難場所についてペットとの同行避難が可能か確認し、可能な場合は注意事項を自治体に確認して避難計画を考えておくよう案内しています。
また、
「避難所が無理なら車で過ごせばいい」
と最初から一つの方法だけに決めるのもおすすめできません。
災害の種類や道路状況、気温などによって最適な方法は変わるためです。
自宅周辺の避難場所だけでなく、
「家族が別々の場所にいたら誰が犬を迎えに行くか」
「避難所で受け入れが難しい場合はどうするか」
「親戚や知人に一時的に預けられるか」
まで家族で話しておきましょう。
6.犬種ごとの特徴より「目の前の愛犬」を見る
ここまでチワワ、柴犬、ゴールデン・レトリーバーを例にしましたが、犬種だけで犬 性格を決めつけることはできません。
同じ犬種でも、
人が大好きな犬もいれば、人との距離を取りたい犬もいます。
クレートが大好きな犬もいれば、慣れるまで時間がかかる犬もいます。
つまり、犬種ごとの特徴は防災準備の参考にはなりますが、最終的には愛犬の性格、体格、年齢、健康状態、生活環境に合わせることが大切です。
持病がある犬や高齢犬の場合は、薬や食事など災害時に必要なものについて、普段からかかりつけの動物病院に相談しておくとよいでしょう。
■トレーナーからの一言アドバイス
現場で飼い主さんと話していると、
「防災グッズを買って満足していました」
「うちの子、キャリーに入れないことに気付きました」
「避難所の場所は知っているけれど、犬を連れて行けるか知りません」
といった声は十分あり得る悩みです。
しかし、防災で大切なのは高価なグッズを一度にそろえることではありません。
今日、愛犬と一緒に避難することになったらどうするかを具体的に想像することから始めてください。
まずはフード、水、リード、薬、排泄用品を確認する。
次にクレートへ入る練習をする。
そして休日に避難経路を犬と歩いてみる。
この小さな積み重ねが、いざというときの落ち着いた行動につながります。
犬の災害対策では、防災グッズをそろえるだけでは十分とはいえません。
必要な物を準備すること、避難場所を確認すること、そして日頃から犬 しつけを行うこと。
この3つをセットで考えてみましょう。
また、犬種別 飼い方や犬種ごとの特徴を参考にしながらも、最後は目の前の愛犬に必要な備えを考えることが大切です。
災害が起きてから準備することはできません。
まず今日、防災バッグの中身を一度確認するところから始めてみてください。
「うちの犬はクレートに入れない」
「避難時に吠え続けそうで心配」
「怖がりな犬なので、どんな練習をすればいい?」
このようなお悩みがある方は、災害時にも役立つ日常のしつけについてお気軽にご相談ください。
犬の性格や生活環境を確認しながら、ご家庭で続けやすい方法をご提案します。
あわせて、関連記事の
「クレートトレーニングの始め方」
「怖がりな犬との接し方」
「犬種別 飼い方と性格・しつけのポイント」
もぜひ参考にしてください。
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